【9月28日 AFP】米国体操女子のシモーネ・バイルス(Simone Biles)は27日、五輪の夢を抱き続けたことで精神的に大きなダメージを受けたと明かし、「東京大会のずっと前」に体操を辞めておくべきだったと語った。

 24歳のバイルスは東京五輪での活躍が期待されていたが、空中で平衡感覚を失うメンタルブロック状態「ツイスティーズ」に悩まされ、最初の種目だった団体を途中棄権し、世間を騒がせた。

 バイルズは米誌ニューヨークマガジン(New York Magazine)が27日に掲載した記事で「この7年間を振り返ってみると、自分はもう五輪代表に入るべきではなかった。東京大会のずっと前に辞めておくべきだった」とコメントし、突然の棄権につながった精神衛生上の問題は、日本入りする前から始まっていたと明かしている。

 またバイルスは同誌に対し、米国体操連盟(USA Gymnastics)の元チーム医師ラリー・ナサール(Larry Nassar)受刑者の性的虐待スキャンダルが、大きな精神的ダメージを与えたと話した。

 2年間にわたって公の場で繰り広げられたナサール受刑者の虐待スキャンダルについてバイルスは「あまりにもひどかった」とすると、「でも、6歳の時から努力してきたことを、彼に奪わせるわけにはいかなかった。自分の喜びを奪われたくなかった。だから、心と体が許す限りはそれを押しのけた」と語った。

 東京五輪では金メダル6個の獲得が有力視されていたバイルスは、精神的な健康を優先して出場を棄権。その後競技に戻り、種目別平均台の決勝で銅メダルを獲得した。(c)AFP