【10月9日 AFP】次々と光る稲妻が高床式住宅の水上集落を照らす。南米ベネズエラにあるマラカイボ湖(Lake Maracaibo)は、「世界で最も稲妻が多い場所」としてギネス世界記録(Guinness World Records)に認定されている。

 カタトゥンボ(Catatumbo)川が流れ込む湖は南米最大で、米航空宇宙局(NASA)によると毎年1平方キロ当たり平均233回の稲妻が起きるという。一晩に数万本の稲光が走るのだ。

 科学者と観光客を引き付けてきたこの現象は、北西部スリア(Zulia)州に位置するマラカイボの湖上集落で暮らす人々にはカタトゥンボの「灯台」と呼ばれ、何世紀にもわたって夜の闇の中、船で航行する際の助けとなっている。

 雷鳴はなく、稲光だけが走る壮大な光景は年間約300日楽しめ、9月にピークを迎える。

 星座観測に望遠鏡は要らない。晴れた夜には、星空を流れる天の川に印象的な模様を稲妻が描く。観測を妨げるような人工の光は、ほぼない。

 ここには電気が通っていない。今も使われている数少ない発電機は、国の経済危機による深刻な燃料不足のせいで止まっている。ごくたまに家庭用の小型発電機の淡い光や、漁師の懐中電灯の光線が差すだけだ。

 スリア州を訪れていた外国人観光客は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)と経済危機のため足が途絶えてしまっている。

 地元の漁師の女性は、稲光は「どちらへ進んだらいいか、私たちに教えてくれます」と語った。

 NASAによると、アンデス山脈(Andes)の北端に沿っているマラカイボ湖では、冷たい山風が湖上の温暖湿潤な空気にぶつかり夜間、嵐が起きる。この特異な地形と気候が、雷を発生させる積乱雲の発達につながるという。(c)AFP/Margioni BERMÚDEZ