【9月28日 Xinhua News】植物の光合成に頼らず、二酸化炭素(CO2)からでんぷんを人工合成する技術が誕生した。中国科学院天津工業生物技術研究所の馬延和(Ma Yanhe)研究員率いるチームが、非自然的なCO2固定・でんぷん合成技術を開発し、CO2からでんぷん分子までの合成を初めて実現した。研究成果は北京時間24日、米科学誌「サイエンス」のオンライン版に掲載された。

 初期段階のテストによると、でんぷんの人工合成速度は従来の農業生産の8・5倍だった。エネルギー供給が十分な条件の下で、現在の技術パラメーターに基づいて計算した場合、1立方メートルのバイオリアクター(生体反応器)による理論上のでんぷん年間生産量は、作付面積5ムー(約0・33ヘクタール)ほどのトウモロコシ畑の年間生産量に相当する。

 馬氏は「自然界に存在しない合成代謝経路を設計、構築し、自然の生物学的プロセスを上回る合成速度を実現した。自然界で数億年かかる進化の過程を一気に飛び越えた」と述べた。

 天津工業生物技術研究所は現在、国家合成バイオテクノロジーイノベーションセンターの建設を進めている。研究チームは次の段階で、でんぷんの人工合成に関する生物システムの設計や調節など基本的な科学的難題に取り組むとともに、成果の実用化を促し、人工合成でんぷんの経済的実現可能性を農業栽培に近付けていくとしている。(c)Xinhua News/AFPBB News