【9月25日 AFP】夕日がアルガンダブ川(Arghandab River)をすみれ色に染める時、イスラム主義組織タリバン(Taliban)の若者7人が河原で輪になり、アフガニスタンの伝統的な様式で歌い、踊っていた。

 厳格なイスラム主義を掲げるタリバンが、初めて政権を握った20年前には想像もできなかった光景だ。当時音楽は全面的に禁止された。

 わずか数か月前この河原で、タリバンと政府軍が衝突した。若者が踊っている頭上のコンクリート製の橋は、戦闘で破壊され真っ二つに割れている。

 岩だらけの河原から今、響いてくるのは愛国的な歌だ。左右に動きながら、手をたたいて歌っている。「カブールからあいさつを送ってくれ…とても会いたい」

 タリバンがアフガニスタンを統治していた1996年から2001年まで、歌や踊りを含めあらゆる娯楽が禁止されていたが、今のタリバンの若者は音楽を聴いている。ただし、大半は宗教的なものだ。

 タリバンは8月中旬再び権力を握ったが、指導部は以前ほど厳しく言わなくなったようだ。少なくとも大都市では、音楽を聴いたからといって処罰はされていない。

 若者は、くつろぐために河原に来ていた。これから10キロ先にあるタリバン発祥の地、南部カンダハル(Kandahar)に戻るという。

 輪になって踊っていた一人、ハーフィズ・ムダシル(Hafiz Mudasir)さんは、背が高く、痩せていて、顎ひげを生やしていた。皆同じような外見をしており、タリバンが米国主導の駐留軍や政府軍とこの20年間、戦闘を続け勝利したことに、今でも興奮冷めやらぬ様子だった。

 タリバンは、今回の統治は20年前より穏健なものになると約束している。一方で、自分たちが解釈したシャリア(イスラム法)の枠内で国家を運営していく考えを示している。

 国民の多くは不信感を抱き、1990年代の厳格な統治を再び行うのではないかと懸念している。