【9月25日 東方新報】空前のペットブームが続く中国でペットサービス市場が急速な発展を遂げる中、ペットが死んだ後の葬儀や記念品制作など「お見送り市場」も成長している。

 2020年中国ペット産業白書によると、中国の都市部で飼われている犬・猫は計1億匹を突破。少子高齢化に伴いペットを飼う人が急激に増えており、市場規模は2065億元(約3兆5286億円)に達している。ペットフードや日用品、おもちゃ、衣類、病院、ホテル、美容、トレーニングなどジャンルは幅広い。そしてペットは毎年数百万匹が死んでおり、飼い主の53%が「ペットの葬儀をしたい」と考えている。

 全国のペット葬儀関連業者は2020年末で1200社を超え、前年比447%増と急増。葬儀業者はペットの遺体をお清めし、「お別れの部屋」で飼い主が最愛のペットと別れを告げるのに立ち会い、遺体を火葬や埋葬処分する。北京の葬儀会社を検索すると、安い業者で葬儀費用は995元(約1万7002円)、高いと1800元(約3万757円)。データでは飼い主の月収は4000元(約6万8350円)以上が77.7%、1万元(約17万円)以上が30.1%。市役所にペットの火葬を依頼すれば30元(約512円)程度で済むが、家族同然のペットの旅立ちに出費をいとわない飼い主も多い。

 ペットの記念品制作も増えている。8月に愛犬を亡くした四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)の劉(Liu)さんは、愛犬の遺髪を入れたネックレスを作った。費用は400元(約6835円)で、「寂しくなった時にネックレスを触ると、あの子がまだ一緒にいてくれる気がします」と話す。

 中国のインターネットで「ペットの記念品」を検索すると、ネックレス、ペンダント、記念プレート、置物、油絵、フェルト人形など関連商品は1万5000点以上に上る。ペットのフェルト人形を作る店のオーナー唐琴(Tang Qin)さんは「飼い主の希望をじっくり聞きながら制作するので、完成までに3〜4週間かかります。忙しい時は2〜3か月先まで予約が埋まりますよ」と話す。四川省ペット協会の張勇兵(Zhang Yongbing)事務局長は「中国のペット飼育率は約10%。先進国と比べるとまだまだ大きな差があるので、ペット産業は当分、高い成長を維持するだろう」とみている。

 ただ、ペット葬儀会社の早くも激化し、既に廃業する業者も出始めている。低価格で葬儀を引き受け、遺体を不適切に処理する業者もいるという。中国ではペット葬儀に関する法規制が整っておらず、中国メディアは「政府の担当部門を早急に決定し、葬儀に関する基準を定めるべきだ」と提唱している。(c)東方新報/AFPBB News