【9月30日 AFP】バングラデシュで物乞いをしていたシムラン・スニグダ(Simran Snigdha)さん(32)は、偶然の出会いに助けられて路上生活から抜け出し、アーティストになる夢を実現しようとしている。政府は、社会の隅に追いやられてきたトランスジェンダーの人々に対する支援を強化しており、スニグダさんのように定職を確保する例が増えている。

 イスラム教徒が多数を占める保守的なバングラデシュ社会では、約150万人のトランスジェンダーの人々が長い間、差別と暴力にさらされてきた。

 家や共同体を追われ、教育を受けることも職に就くことも難しいトランスジェンダーの人々は、物乞いや性産業に足を踏み入れたり、犯罪に手を染めたりする人もいる。

 スニグダさんは「(人生に)チャンスはありませんでした…人から金をゆすり取ったり、売春をしたりしました」と語った。

 だが近年の新たな法律の施行で、トランスジェンダーの人を雇用し、共生を支援する企業を対象にした減税などが始まった。

 スニグダさんは現在、同じトランスジェンダーの女性が所有・経営する企業の下、首都ダッカの衣料品工場で働きながら画家になる夢を追っている。絵を描きながら「今は自分の好きな仕事を目指すことができます」と語った。