【9月23日 AFP】チュニジアのカイス・サイード(Kais Saied)大統領(63)は22日、大統領権限を強化し、行政権や立法権を自らに集中させる異例の措置に出た。事実上、大統領令による統治が行われることになる。

 サイード大統領は7月25日にヒシャム・メシシ(Hichem Mechichi)首相ら閣僚を解任し、議会を停止して議員免責特権を剥奪。自身に公訴権を持たせ、ほぼ全権を掌握した。

 今回、官報で告知された規定には、「立法文書は共和国大統領が署名した政令の形で公布される」と記されている。

 また「大統領は、政府の代表が議長を務める閣僚会議の助けを受けながら行政権を行使する」と規定した条文や、「共和国大統領は閣僚会議を主宰し、政府首脳に交代を命じることができる」との条文もある。

 元は厳格な法学者で、政治は門外漢だったサイード氏は2019年、政党政治の腐敗と利己主義に国民の怒りが広がる中で、大統領に選出された。

 チュニジア国民の多くは、サイード氏が国会議員の免責特権を剥奪したことを歓迎しているが、大統領権限が肥大化し、停止された議会がそれを抑制できなくなることを懸念する声も上がっている。(c)AFP