【9月22日 AFP】悪魔の監獄との言い伝えが残り、ほとんど近づく者もいないイエメン東部の巨大な穴「バラフートの井戸(Well of Barhout)」の底に、オマーンの探検隊が到達した。人が下り立つのは初めてとみられる。

「地獄の井戸(Well of Hell)」とも呼ばれる穴は、アルマハラ(Al-Mahra)県の砂漠の真ん中に位置し、幅は約30メートル、深さは約112メートル。異臭を発しているという証言もある。

 オマーン洞窟探検隊(OCET)が穴の底に下り、生きたヘビや動物の死骸、洞窟真珠を発見したが、悪魔の痕跡は見つけられなかった。

 2人が地上に残り、ドイツ工科大学(German University of Technology in Oman)のモハメド・キンディ(Mohammed al-Kindi)教授(地質学)ら経験豊富な8人がロープを使って底に下りた。

 キンディ氏は今回の探検について「情熱に駆り立てられての行動だ」と説明。「新たな驚異とイエメンの歴史の一部が明らかになると感じた」と語った。

 さらに「水や石、土、動物の死骸のサンプルを採取したが、まだ分析できていない」とした上で、近日中に報告書を公表すると述べた。「鳥の死骸が悪臭を放っていたが、耐え難い悪臭はなかった」

 イエメン当局は6月、穴は「はるかな昔」から存在するが、底に下りた人間は一人もおらず、何があるかは分からないとAFPに語っていた。

 現地の地質調査・鉱物資源当局責任者は、「井戸を50~60メートル以上下りたことがある。中には奇妙なものがいた。異臭もした。(中略)謎めいていた」と述べていた。

 何百年も前から語り継がれてきた伝承では、井戸には悪魔が潜んでいて、亀裂から不幸の種が出て来て、地上の生命を脅かすとされる。地元住民は井戸に近づくどころか、話すことさえ不安に思っている。(c)AFP/Dana MOUKHALLATI