【9月23日 AFP】米国のメキシコ国境地帯で、馬に乗った国境警備隊がハイチ移民を追い回す場面を撮影した写真が話題を呼び、米政府に対する批判を生んでいる。米国土安全保障省のアレハンドロ・マヨルカス(Alejandro Mayorkas)長官は22日、同省傘下の国境警備局を擁護した。

 AFPのポール・レイチ(Paul Ratje)カメラマンが19日、テキサス州デルリオ(Del Rio)で撮影した一連の写真には、国境警備隊が馬の長い手綱を振って不法移民を威嚇し、国境を流れるリオグランデ(Rio Grande)川に押し戻しているように見える場面が写っている。

 米国を含む世界各国のメディアは写真を繰り返し掲載。家畜の群れを統率するカウボーイを想起させるとの声や、警官や刑務官、奴隷主が馬に乗り黒人にむちを振るった過去をほうふつとさせるとの批判が上がった。

 マヨルカス氏は下院の国土安全保障委員会で、写真は「国としてのわれわれの姿を反映するものでも、税関・国境警備局(CBP)がどのような組織かを反映するものでもない」と弁明。「これらの画像に写っている出来事について、調査を命じた」と述べた。

 米国土安全保障省は現在、米国への移住を目指して国境を越えてくる大勢の人々の阻止に苦戦している。ハイチ移民の多くは、同国で大きな被害を出した2010年の地震などを受け、数年前に南米へ逃れていた人々だ。

 国境警備隊は先週末、航空便によるハイチ移民の強制送還を開始。しかし、問題の写真が話題を呼ぶと、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領が率いる与党・民主党からも、移民の扱いに対する非難が相次いだ。(c)AFP/Paul Handley