【9月26日 東方新報】世界最大のロボット市場に発展した中国の首都・北京で10~13日、国際ロボット大会が開かれた。ロボット大手のスイスのABB、日本の安川電機(Yaskawa Electric)、中国の新松(Siasun)など世界の企業110社が最先端のロボット500台を展示。大会中に交わされた契約は53億元(約896億円)に上った。中国で長年活動している日本企業、日本にロボットを販売している中国企業も参加し、日中両国がロボット技術を通じて「ウインウイン」の関係を築いている事例が紹介された。

 宇宙ステーションで使われる大型ロボットアーム、漢字を書くパンダロボット、「神の手」を持つ手術支援ロボット。会場の各地で最新ロボットが展示される中、日本の空気圧制御機器メーカーのSMCは電子オルガンを演奏するロボットを公開した。圧縮空気を動力源として工場の自動化を進める世界のトップメーカーである同社は、1994年に中国に進出。中国各地の工場で省力化や省エネ化に貢献してきた。北京市、上海市、広州市(Guangzhou)、天津市(Tianjin)に工場を持ち、27年の時を経て「現地化」を進めてきた。SMC投資管理有限公司の馬青海(Ma Qinghai)社長は「SMCは中国の産業自動化の歴史とともに発展してきた。現在、中国における顧客は自動車、工作機械、ヘルスケア、半導体などの幅広い産業分野に及んでいる」と説明。中国市場の売り上げは同社のグローバル市場の4分の1を占めているという。

 逆に日本に進出している中国企業が、世界の飲食配送ロボットのトップランナー、上海擎朗智能科技(Keenon)だ。人工知能(AI)を使った業務ロボットが飲食店や病院、ホテル、高齢者施設、空港などで幅広く使われている同社は、日本では神奈川県、千葉県、埼玉県、青森県などの飲食店に配膳ロボットを提供。同社ブランドPRディレクターの池暁敏(Chi Xiaomin)氏は「新型コロナウイルスが流行する中、店員と客の接触を減らしている」と説明。1台のロボットが1.5~2人分の仕事を代替しており、「人件費も削減でき、コロナ禍の経営危機を克服した店もあります」と語る。

 中国は世界のロボット市場の約40%を占めている。世界ロボット会議で発表されたリポートによると、2021年の世界のロボット市場は335億8000万ドル(約3兆6753億円)、このうち中国の市場は839億元(約1兆4191円)に達すると予想される。日本など海外企業にとっても大きなチャンスが広がっている。(c)東方新報/AFPBB News