■「家族一緒に暮らすのがハイチ人」

 マルカデューさんは妻と2歳の娘を連れてチリを出発し、ボリビア、ペルー、コロンビア、パナマ、コスタリカ、ホンジュラス、ニカラグア、グアテマラ、メキシコを旅してきた。

 パナマとコロンビアの間では、命を落とす移民も少なくない無法地帯の密林、ダリエン地峡(Darien Gap)を4日間かけて歩いた。それだけの思いをしてたどり着いた今、強制送還される危険があるぐらいでは、最後の国境越えをあきらめようとは思わない。

「米国には家族がいるし、いつも一緒に暮らしたいと思うのがハイチ人だ。だからチリを出た」と、食料を探しにシウダードアクニャを訪れたマルカデューさんはAFPに語った。

 リオグランデ川沿いの公園では、国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」などが支援活動を行っている。移民に食料や水、ソフトドリンクなどを売ろうと車やトラックで乗り付ける人もいる。

 ハイチ移民は強い流れにのまれないようロープにつかまり、リオグランデ川を渡る。

「家族連れでも妊婦でも強制送還すると言っている」とエルビンソン・サンティル(Elvinson Saintil)さん(16)は語った。両親と3人のきょうだいと一緒に同じくチリからたどり着いたという。これから待ち受ける運命が不安でたまらず「怖い」ともらした。(c)AFP/Jean Arce