【9月22日 AFP】ドイツのガソリンスタンドで、ビールを買おうとした際にマスク着用を求められ逆上した客が、20歳の店員を拳銃で射殺する事件があり、国内で衝撃と憤りの声が広がっている。

 事件は19日夜、西部イダーオーバーシュタイン(Idar-Oberstein)で発生。政府の新型コロナウイルス対策に関連した殺人事件は同国初とみられる。ドイツは総選挙を5日後に控えており、党を超えたさまざまな政治家が事件を非難し、反マスク運動の過激化に対する懸念を表明している。

 発端は、レジ係として働いていた店員の学生が、国内の全商店で義務付けられているマスク着用を客の男に求めたことだった。短い口論の後、男はいったん店を去ったが、約1時間半後にマスクをして再び来店。だが、ビールをレジに持っていった際にマスクを外したことから、再び口論になった。

 検察当局の20日の発表によると、男は拳銃を取り出し、店員の頭を撃った。男は49歳のドイツ人とされるが、身元は公表されていない。

 男は翌日、警察署に出頭して逮捕され、犯行を自供。取り調べに対し、政府の新型コロナウイルス対策に「追い詰められている」と感じ、「自分が持つ権利の侵害が強まっている」と思い、「他に解決策がなかった」と供述したという。(c)AFP