【9月21日 AFP】(更新)ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領は21日、国連総会(UN General Assembly)で就任後初となる一般討論演説を行った。バイデン氏は、米国は中国との新たな冷戦(Cold War)を望んでいないと表明。2001年の米同時多発攻撃後に起きた武力紛争から軸足を移し、気候変動や新型コロナウイルスなどの問題について世界を率いる存在となると宣言した。

 米国は、オーストラリアがフランスとの大型潜水艦契約を破棄して米国製原子力潜水艦に乗り換えたことをめぐり、欧州と緊張関係にある。そうした中、バイデン氏は演説で、民主主義と同盟関係の推進に取り組むと約束した。

 バイデン政権は、権威主義政権が率いる中国の台頭が21世紀の主要課題となると明言してきた。だがバイデン氏は「われわれは新たな冷戦や、複数の硬直した連合に分断された世界は望んでいない」と表明。「前に進み出て、共通の課題に対して平和的解決法を追求する国に対しては、たとえ他の分野で激しい意見の相違があったとしても、協力する用意がある」と述べた。

 中国については、ウイグル人などのイスラム教徒ら100万人以上が収容所に送られているとされる新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の人権問題に警鐘を鳴らしたが、それ以外では中国を名指しすることはなかった。

 イスラム主義組織タリバン(Taliban)の電撃的攻勢により陥落したアフガニスタンについては、同国からの米軍撤退が完了したことで、自身がここ20年で初めて戦争に従事しない米大統領になったと指摘。米国は「たゆみない外交の時代」を開始すると宣言し、軍事力は「最終手段」としなければならないとした上で、武力を行使する場合、「その任務は明確で達成可能なものでなければならず、十分に情報を与えられた米国民の同意の下に行われ、可能な限り同盟国との協調の下に行われなければならない」とした。

 国連総会の対面開催は2年ぶりだが、出席者は少数にとどまり、一連の新型コロナウイルス対策が取られた。演説では、登壇者ごとにマイクを交換。これは、ワクチン接種を参加条件とした規則を無視して出席したブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領の後に登壇した78歳のバイデン氏にとっては、歓迎すべき措置だっただろう。

 バイデン氏は、22日に新型ウイルス対策に関する首脳会議をオンラインで開催し、「追加の誓約」を発表すると予告。米国が気候変動対策への支出を倍増させることにも言及した。(c)AFP/Sebastian Smith and Shaun Tandon