【9月21日 AFP】米テキサス州で20日、妊娠6週目以降の女性に人工中絶処置を行うことを禁じる新州法に違反し、処置を行ったと公表した医師が提訴された。

 アラン・ブレード(Alan Braid)医師は、ワシントン・ポスト(Washington Post)紙が18日に掲載したコラムで、妊娠3か月以内ではあるものの「州が新たに定めた期限を過ぎた」女性に対し、今月6日に中絶処置を施したと明かした。

 この新州法は、通常妊娠6週ごろから検知できる心拍が確認された後の中絶を禁止するもので、「テキサス心拍法(Texas Heartbeat Act)」とも呼ばれる。ただ6週前後では妊娠に気付かない女性も多く、またレイプや近親相姦(そうかん)による妊娠も例外と認められないことから、論議を呼んでいる。

 ブレード医師をめぐる裁判は、今月1日に施行された同州法の合憲性を問うものになるとみられている。

 半世紀にわたり医療に従事してきたブレード医師はコラムの中で、「処置をしたのは、私にはこの患者に対し、全ての患者に対して有する安全配慮義務があったからだ。またこの女性には、この処置を受ける基本的人権がある」との考えを示した。

 さらに「法的責任を負うことは理解している」とした上で、「明らかに違憲な州法」が確実に争点になるよう公表したと説明した。

 ブレード医師を相手取ってテキサス州の地裁に提訴したのは、隣州アーカンソー州の元弁護士。今回の新法では、検察だけでなく、一般市民が法順守を求めて違反者を提訴することができる。(c)AFP