ニルヴァーナ「ネヴァーマインド」発売から30年、二面性が生んだ名盤
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■悪夢のような大ヒット
コバーンは音楽づくりに意欲的で、日記にはびっしりと今後の詳細な計画をつづっていた。現「フー・ファイターズ(Foo Fighters)」のデイヴ・グロール(Dave Grohl)をメンバーに迎えるまで、ドラマーも次々に首にした。
しかし、「ネヴァーマインド」が当時、クアドラプル・プラチナ・アルバム(売り上げ400万枚)に認定されるほど大ヒットしたのは、パンクの精神を持ったコバーンにとっては悪夢のような出来事だった。
「BMWを乗り回すヤッピー(裕福な若いエリート)ども」も聴いていることにショックを受けたコバーンは、このヒット作を自ら否定するようになる。
コバーンは伝記作家のマイケル・アゼラッド(Michael Azerrad)氏に、「あのアルバムは出してから一度も聴いていない。ああいう作品には耐えられない」と語っている。
プロデューサーのブッチ・ビグ(Butch Vig)氏は、レコーディングの際のコバーンには葛藤はなかったと指摘している。「5万枚しか売れていなかったら、おそらく、見てくれがいいだけとは言わなかっただろう」
コバーンの遺書には「売れる」ことへの苦悩が延々とつづられていた。