【9月20日 AFP】パレスチナで、ありふれたスプーンが新たな抵抗の象徴となっている。イスラエル北部の刑務所からパレスチナ人受刑者6人が脱獄した際、スプーンを使ってトンネルを掘ったといわれているためだ。

 パレスチナ武装組織の元幹部ら6人は今月6日、警備の厳重なギルボア(Gilboa)刑務所からトンネルを抜けて脱獄した。刑務所内の洗面台の下に掘られた穴やトンネル出口の写真がソーシャルメディアで共有され、ハリウッド(Hollywood)映画さながらの脱獄劇は「奇跡のスプーン」というハッシュタグと共に話題を呼んだ。

 脱獄囚の一人でイスラエル当局に身柄を拘束されたマフムード・アブドゥラ・アルダ(Mahmud Abdullah Ardah)受刑者の弁護人によると、アルダ受刑者は昨年12月から、スプーンや皿、やかんの取っ手などを使ってトンネルを掘り始めたと話しているという。

 パレスチナ人たちは、イスラエル当局を困惑させたこの脱獄劇を「勝利」とみている。パレスチナ自治区内のみならず、アラブ諸国でも脱獄劇は称賛を集めており、スプーンを掲げてイスラエルの拘束下にあるパレスチナ人の解放を求めるデモが相次いでいる。(c)AFP