【9月18日 AFP】フランスの裁判所は17日、政府の新型コロナウイルス対策への抗議で、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領をナチス・ドイツ(Nazi)の指導者アドルフ・ヒトラー(Adolf Hitler)風に描いて侮辱したとして、男に罰金1万ユーロ(約130万円)の有罪判決を言い渡した。

 男は元広告会社幹部のミシェルアンジュ・フロリ(Michel-Ange Flori)被告(62)で、南仏でマクロン氏をヒトラーに見立てたポスターを掲示板に張り出していた。

 フランスでは2013年に不敬罪が廃止されたが、大統領を「公然と侮辱」した場合、一般市民の場合と同様に侮辱罪が適用される。ただし、裁判になることはめったにない。

 マクロン氏の所属政党・共和国前進(LREM)が告訴した。ローラン・ロベール(Laurent Robert)検事は法廷で、フロリ被告には明らかにマクロン氏を害する意図があったと主張した。

 ポスターは7月、政府が新型コロナ対策として「衛生パス」の導入を発表した数日後に掲示された。ナチスの制服を着てヒトラーを思わせる口ひげをたくわえたマクロン氏が描かれており、「従え。ワクチンを接種しろ」という言葉が添えられていた。

 フロリ被告はヒトラー風ポスターの捜査が進められていた8月、マクロン氏をナチスに協力したフィリップ・ペタン(Philippe Petain)元国家主席になぞらえたポスターも掲示した。

 フロリ被告は法廷で、自分には「ユーモアを用いる権利」があると主張し、判決を不服として上訴する意向を示した。

 弁護人のベランジェ・トゥルネ(Beranger Tourne)氏は、「大統領は常々表現の自由を擁護しているが、その自由も尊い自分には及ばないと考えている」と述べた。(c)AFP