【9月17日 AFP】アフガニスタンの首都カブールの東にある薄汚れた刑務所には、かつて数千人の受刑者が押し込まれていた。先月、同市に迫ったイスラム主義組織タリバン(Taliban)が、囚人らを解放するまでは──。

 全土制圧を目指して猛攻を仕掛けたタリバンは、イスラム過激派の受刑者らを解放して戦力増強に生かそうと、刑務所を襲撃するという戦略を各地で用いた。しかし、その結果タリバンは、殺人犯やレイプ犯、窃盗犯ら何万人もの犯罪者を野放しにした。

 今ではほぼ無人になったプレシャルキ(Pul-e-Charkhi)刑務所を訪れると、かつての受刑者約1万5000人の獄中生活を垣間見ることができた。

 ある棟の監房には、タリバンが首都を制圧した前日の8月14日に脱獄した受刑者の服や靴などの私物が散乱していた。刑務官の多くも、制服を残して逃亡した。

 現在は銃武装したタリバンの戦闘員らが監視する、国内最大の刑務所は、ごみであふれ、腐った食べ物や便所の強烈な悪臭が充満している。

 監房の一部は15~20人用で、二段ベッドが並んでいる。カーテン代わりにつるされた布しか、プライバシーを保つものはなかった。トイレという「ぜいたく品」は、ほとんどの監房に設けられていなかった。

 それでも、幾らか「家」を感じさせる場所もあった。南国の夕日の絵がコンクリートの壁に張られたり、崩壊した政権の三色旗が掲げられたりしている一角もあった。自らが置かれている境遇と同じようなケージに、鳥を飼っていた者もいた。

 警備に立っていたタリバン戦闘員は、刑務所が空になって良かったと語る。以前、そこは「恐怖の場所」だったからだ。(c)AFP/James EDGAR