【9月17日 AFP】米国で新型コロナウイルスワクチンの接種率が最も低いアイダホ州が16日、医療の提供を制限し、回復の見込みがない患者は人工呼吸器の使用優先対象から外す方針を発表した。

 同州保健当局は「入院を必要とする新型コロナ患者が急増」し、既存のリソースが「枯渇した」ため今回の措置に至ったと説明している。

 州保健局長のデーブ・ジェプセン(Dave Jeppesen)氏は「新型コロナ、心臓発作、あるいは交通事故といった入院理由のいかんを問わず、入院患者に適切な治療を施すために必要なリソースがない」と訴え、さらに多くの州民がワクチン接種を受けるよう呼び掛けた。

 同局によると医療資源配分のための新ガイドラインの下では、病院に搬送されても病床がなかったり、会議室などを転用した場所で治療を受けたりする可能性がある。

 加えて「回復の見込みがない患者よりも、(コロナ感染以外は)健康でより早く回復が見込める患者の方が治療や人工呼吸器の使用が優先される可能性がある」という。

 米国の新型コロナ関連データをまとめているNPO「Covid Act Now」によると、アイダホ州で新型コロナワクチンの接種を1回以上済ませた人は、州民約180万人の46%にとどまっており、米国の53の州・自治領の中で最下位となっている。

 ちなみに全米で1回以上の接種を受けた人は63%、1位のプエルトリコ(米自治領)では77%となっている。

 アイダホ州では7月上旬には約90人だった新型コロナによる入院患者が630人を超え、1日当たりの死者数は約20人に上っている。これは昨年12月の急増期に匹敵しており、さらに悪化する恐れもある。

 米国ではマスク着用や物理的距離の確保などと同様、ワクチン接種は政治問題として二極化しており、保守派寄りの地域では接種率が大幅に低くなっている。

 昨年の大統領選でアイダホ州の一般投票では、ジョー・バイデン(Joe Biden)現大統領の33%に対し、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領が64%の支持を得た。(c)AFP