【9月16日 Xinhua News】中国で「Z世代」と呼ばれる1990年代後半から2000年代前半生まれの若者がここ数年、中国的な要素を取り入れた「国潮」ブームを背景に漢民族の伝統衣装「漢服」をファッションの一部として楽しむようになった。

 漢服人気を支えているのは「抖音(ドウイン、Douyin)」「快手(クアイショウ、Kuaishou)」「嗶哩嗶哩(ビリビリ、bilibili)」などのショート動画アプリで、中国人の6割近くが漢服に触れたきっかけとして「ソーシャルメディア」を挙げている。10数年前は一部マニアの間でのみ支持されてきた漢服が、ここ数年の国潮ブームで一般に広く認知されるようになり、今では「国潮経済」を構成する重要な一部となっている。企業情報検索サイト「企査査」によると、国内の漢服関連企業は2400社を超える。

 市場調査会社の艾媒諮詢(IIメディアリサーチ)が国潮経済についてまとめたリポートによると、昨年末時点の漢服愛好家は516万3千人で、今年は689万4千人に増える見通し。Z世代と呼ばれる若者が関連消費の中心を担う。市場規模は15年の1億9千万元(1元=約17円)から昨年の63億6千万元に急拡大。今年は100億元の大台を超えると見込まれる。

 電子商取引(EC)大手アリババグループの通販サイト「天猫(Tモール、T mall)」では、漢服関連の昨年の取引額が前年比6倍に増えた。漢服ブランド大手2社の取引額は1億元を突破。1200社を超える服飾ブランドが漢服の取り扱いを始めた。漢服を年間6~8点購入する人は、年代別で90年代後半生まれの若者が最も多かった。購入者の8割近くを女性が占める。

 漢服経済はもはやファッションのみならず、アニメや漫画、ゲーム、美容、ブライダル、映画・テレビ、文化、観光などの産業にも波及している。オンラインゲームや時代劇などと「次元の壁」を超えたコラボレーションを展開し、消費者の認知度を高めている。

 漢服をきっかけに、伝統文化の継承と発展に熱心に取り組む若者も増え、世界各地に漢服文化サークルが誕生。19年末時点で2千団体を超えた。伝統的な中国画や書道、詩の鑑賞、茶道体験などの催しを定期的に開くサークルもあるという。(c)Xinhua News/AFPBB News