【9月16日 AFP】メキシコの麻薬王「エル・チャポ(El Chapo)」ことホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)受刑者が、危ういところで逮捕を逃れ脱出した邸宅が15日、政府の特別抽せん会に出された。

 北西部シナロア(Sinaloa)州の州都クリアカン(Culiacan)の邸宅は、全国宝くじの景品として出品された、20件の押収資産の一つで、推定価格は18万4000ドル(約2000万円)に上る。

 当せん番号は1438619だったが、当せん者の身元は明らかにされていない。

 悪名が高い麻薬組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」の元最高幹部で、現在米国の刑務所で終身刑に服しているグスマン受刑者は2014年、この家の地下排水路を通って逃げたが、6日後に拘束された。

 15年には警備レベルが最も高い刑務所に送られたが、脱獄。16年に逮捕され、翌年米国に送還された。

 抽せん会にはこの他、「フアレス・カルテル(Juarez Cartel)」の指導者アマド・カリージョ・フエンテス(Amado Carrillo Fuentes)が、首都メキシコ市に所有していた約380万ドル(約4億1600万円)相当の豪邸も出品された。

 中南米の大物麻薬密売人の一人とされていたフエンテスは「空の支配者」の名でも知られ、1997年に同市で整形手術中に死亡した。

 押収物件の管理を担当する当局者は抽せんの目的について、「高額の維持費がかかる厄介な物件」を「社会に目に見える形で利益をもたらすもの」に変えることだと説明した。(c)AFP