【9月15日 AFP】アフガニスタンの首都カブールの空港内に残された米軍兵舎のベッドの上に、読み込まれた形跡のある「Not a Good Day to Die」という題名の本が放置されていた。「死ぬのに良い日ではない」という意味で、アフガン戦争初期の激戦について書かれている。

 ベッド脇のテーブルには、水のボトル2本、空の薬きょう数個、発煙弾1本が転がり、また別のテーブルの上には、米軍兵らがよく使うペッパーソースの瓶が1本あった。

 M16ライフルで武装し、舎内に入ったイスラム主義組織タリバン(Taliban)の戦闘員は、腐った食べ物の臭いが充満する別の部屋を携帯電話で撮影していた。

 タリバンによる全権掌握から1か月が経過したが、カブールの空港には、20年にわたる米主導の連合軍による占領の痕跡が目に見える形で残り、中には米国の不名誉な撤退を物語るものもある。

 兵舎の壁には、最後の抵抗のメッセージも書き殴られていた。「くたばれタリバン、むかつく野郎ども」──戦闘員は壁の言葉にいちべつをくれただけで、見回りを続けた。

 空港内の軍事施設には、米軍が残した医療器具やベスト、靴、マットレス、トイレットペーパー、書類などが散乱しているが、後片付けはまだ始まっていない。

 見回りの戦闘員が足を止めたのは、壁に取り付けられた大きな木製の十字架を見つけた時だけだった。何も言わずに、それを見つめていた。

 タリバンは今週、空港の軍事区域に遺棄された破損した航空機や車両の周りに、傘や折り畳みの椅子など有り合わせの物を積み上げて囲いを作った。

 弾痕が残るヘリコプターが何機も放置された格納庫には、アフガン軍の制服が大量に落ちている。

 扉がない小型機の横に立った別のタリバン戦闘員は、割れた窓をのぞき込みながら「ドカーン、ドカーン、ドカーン」と爆発音をまねて叫び、笑った。(c)AFP/Mohamad Ali Harissi