【9月25日 AFP】フランスの老舗ファッションブランド「ディオール(Dior)」の歴史をたどる巡回展が今月、米ニューヨークで始まった。仏パリと英ロンドンで記録的な数の来場者を集めた同展のニューヨーク版は、米国ならではの工夫が凝らされている。

 展覧会「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ(Christian Dior: Designer of Dreams)」の会場には、300点を超えるオートクチュールのドレスの他、写真や映像、スケッチなどが並ぶ。

 展覧会では、パリで最初のコロール・コレクションを発表した1947年からの歴史が紹介されている。このコレクションはすぐに、米ファッション誌の「ハーパーズ バザー(Harper's Bazaar)」で「ニュールック」と呼ばれるようになった。きゅっと絞られたウエストに、丸みを帯びたスカートという新しいシルエットは、当時のファッションに革命をもたらした。

 ディオールは翌年の1948年、ニューヨークにも初めて店舗を構えた。

 キュレーターのフロランス・ミュラー(Florence Muller)氏は、「彼は自身のブランドを世界に広めた最初の人物。ニューヨークを皮切りに、南米、欧州、北アフリカ、さらには日本にまで拠点を展開しました」とAFPに語った。

 ミュラー氏によると、ニューヨーク・ファッションウィーク(New York Fashion Week)と同週の今月10日に始まった展覧会には、パリやロンドンでは披露されなかったドレスも並んでいるという。

「5番街(Fifth Avenue)の店舗では、オートクチュールではなくプレタポルテを扱っていました」とミュラー氏。「コレクションは報道陣やバイヤーに披露された後、デパートや高級ブティックで販売されました。米国の顧客に合わせ、それまでとは少し違ったやり方をしていました」

「クリスチャン・ディオールは、女性を幸せにするために女性を美しくするという意志を持っていました。それが普遍的なメッセージであるからこそ、その名が世界中でエレガンスやラグジュアリー、美しさやファッションの代名詞となったのだと思います」とミュラー氏は語った。

 会期は来年2月20日まで。(c)AFP/Andrea BAMBINO