【9月15日 People’s Daily】中国甘粛省(Gansu)武威市(Wuwei)重粒子線センターの治療室で、医師が医療機器を使い、腫瘍患者に炭素イオン線の治療を行っている。この治療システムは中国初の独自の知的財産権を持つ重粒子腫瘍治療専用装置(医療用重粒子加速器/炭素イオン線治療システム)だ。同装置は中国科学院近代物理研究所とその産業化会社が研究開発・オペレーション・メンテナンスを担い、武威腫瘍医院が臨床運営を担当している。

 放射性元素や同位元素の医学的な活用による腫瘍の退治の歴史は長い。それには、ガンマ線やX線による光子線治療、陽子ビームによる陽子線治療、そして炭素イオンビームによる重粒子線治療も含まれる。その中で、重粒子線治療は明らかな利点を持っている。

 重粒子分野における中国の技術蓄積は60年余りに及び、一連のビッグサイエンスプロジェクトとビッグサイエンス装置を確立した。1993年から研究者は重粒子線がん治療に注目してきた。重粒子の基礎研究の成果を実用化したり、研究装置を医療機器化したりするのは、紙一重のことのように聞こえるが、実際には困難が多い。例えば、技術革新によって加速器の周長をより短くし、仕組みをよりコンパクトにし、重イオンビームを腫瘍の上に「当てる」には、ビームスポットの中心位置の安定性の誤差を極めて小さくし、関連する工程を更に細かく精密に、医療機器の運転を安定・信頼できるものにする必要があった。

 30年近くの努力を経て、2020年3月、中国初の独自知的財産権を備えた炭素イオン線治療システムの臨床応用を武威市で開始した。これは中国が重粒子線治療システムの独自研究開発と臨床応用能力を持つ世界で4つ目の国になったことを意味する。

 中国科学院蘭州支院の蕭国青(Xiao Guoqing)院長は、この自主開発の医療用重粒子加速器は、性能指標や臨床フィードバックのいずれも、輸入設備にひけをとらないと述べた。特に国産の重粒子線治療装置のコストは、先進国の3分の1から2分の1に過ぎず、価格面で優位に立っている。また、国産の重粒子線治療装置シンクロトロンの周長は56.2メートルにすぎず、現在、世界の医療用重粒子加速器の中で最も短いシンクロトロンシステムであり、病院の投入を減らすのに役立つものだ。中国国内の完璧な製造加工業システムに根差して、フルセットの医療機器のメンテナンスのコストも大幅に低くなり、メンテナンスの時効も速い。

「重粒子線治療は、患者の病気によって治療期間や照射回数が異なる。現在治療終了の患者の臨床フォローアップの結果から見て、効果は著しく、患者の病状は効果的にコントロールされている」。武威腫瘍病院の葉延程(Ye Yancheng)院長によると、これまでにセンターで治療した患者は計375人(臨床試験患者を含む)で、病気の種類は中枢神経系腫瘍、頭頸部および頭蓋底、胸腹部、骨盤内の腫瘍などに及んでいる。

 次の段階として、国科離子医療科技有限会社は国産重粒子線治療装置の中国全土の普及を推進する。すでに稼働している武威重粒子線センターと臨床試験を行う予定の蘭州重粒子線治療装置のほかにも、他の都市で4台の装置が建設中で、また多くの地域で協力協定を結んでいる。「建設レイアウトは人口と地理的要因を十分に考慮し、装置を国家地域医療センターに置き、重粒子線治療サービスへのアクセスを向上させる」と、同社の馬力禎(Ma Lizhen)会長は述べた。(c)People’s Daily/AFPBB News