【9月23日 AFP】米首都ワシントンに住むセダイトラ・ブラウン(Seditra Brown)さん(49)は、銃による暴力で3人の息子を亡くした。2018年に三男のパリスさん、翌19年に長男のモントレーさん、そして先月、次男のカリフさんが銃弾に倒れた。

 目の届かないところでは「子どもを守る方法などありません」とブラウンさんは言う。「これは誰にでも起こりうることです」

 深い悲しみに耐えつつ、ブラウンさんは息子たちの死を知らされた時の絶望を語った。

「娘たちや孫たち、みんなが打ちのめされないように、私が気丈でいなければならないのです。みんな…私の気力に頼っているから」と述べ、「私がだめになったら、家族全員がだめになってしまいます」と続けた。

 米当局の統計によると、銃による暴力は増えつつある。最も影響を受けているのは、行政サービスが不十分な犯罪多発地域に住んでいるアフリカ系住民だ。

 銃の暴力の増加は、新型コロナウイルスの流行、反人種差別デモ、大統領選の混乱などを背景に、過去1年間に銃を買い求める人が増える中で見られた。

■「本当なわけがない」

 三男のパリスさんは、歩道で殺害された。当時まだ高校に通う19歳の少年だった。28歳の長男で、家族持ちのモントレーさんはアパートの部屋で撃たれた。一人残ったカリフさんは先月、市内の路上で車の中にいるところを襲われた。

 カリフさんの死の知らせをブラウンさんは信じることができなかった。

「本当なわけがない──ただ、そう思うだけでした」と、どこか奥深くに悲しみをしまい込んだ様子のまま、静かな抑揚のない言葉で語った。

 ブラウンさんには娘3人と孫14人が残された。孫のうち9人が父親を失った。