ハミルトン救った「Halo」、誰もが認める存在に 過去には議論も
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【9月14日 AFP】21F1第14戦イタリアGP(Italian Grand Prix 2021)で、メルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)はレッドブル(Red Bull)のマックス・フェルスタッペン(Max Verstappen)とクラッシュし、相手の後輪がマシンに乗り上げる事故に遭遇したが、頭部保護装置「Halo」によって事なきを得た。
12日の決勝レースで起きた事故では、通算7度の年間優勝を誇るハミルトンのヘルメットの上をフェルスタッペンの後輪が乗り上げ、その映像は見る人をぞっとさせたが、2018年のシーズン開幕から導入されたHaloのおかげで大事には至らなかった。
ハミルトンはレース後、「きょうはとても幸運だと感じる」と話し、「Haloが私と首を救ってくれたことを神に感謝する」とコメントした。
Haloに関しては以前、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ヴォルフ(Toto Wolff)氏が、10キロ近くある重量を問題視し、可能であればチェーンソーで取り除きたいと発言していた。
しかし、ハミルトンが無傷で脱出したのを目の当たりにして認識を改めた同氏は、「選手権はここまで順調に進んでいたが、きょうはルイスの命がHaloによって助けられたのを目の当たりにした。誰かが重傷を負う姿は見たくない」と語った。
チタンとカーボンファイバー素材のHaloは、飛来するデブリなどからドライバーを守る目的の装置で、2トンの重量に耐えることができる。2014年の日本GP(Japan Grand Prix 2014)でのクラッシュが原因で亡くなったジュール・ビアンキ(Jules Bianchi)選手らの事故を受け、国際自動車連盟(FIA)が数年間に及ぶ研究と開発の末、導入を決めた。
だが、従来のオープンコクピットを継続すべきだと考える保守派は決定に衝撃を受け、導入時はチーム代表やドライバー、ファンの間でも正しい安全策かどうかで意見が二分。Haloがビーチサンダルの鼻緒のような形状であることから、ファンはとにかく見栄えが悪いと嘆き、一部のドライバーも視界が狭まると不満を訴えていた。
それでも、昨年のバーレーンGP(Bahrain Grand Prix 2020)決勝で大クラッシュに遭遇した当時ハース(Haas)のロマン・グロージャン(Romain Grosjean)は、Haloのおかげで命拾いしたと話していた。(c)AFP