【9月14日 AFP】新型コロナウイルスワクチンは重症化を防ぐのに十分な効果があるため、人口全体に3回目の接種を行う必要は今のところないと結論した報告書が13日、英医学誌「ランセット(The Lancet)」で発表された。

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 一部の国は、感染力の強いデルタ株への懸念から追加接種(ブースター接種)を開始している。だが、多くの人々がまだ1回目接種も受けていない貧困国へのワクチン供給に関する懸念から、世界保健機関(WHO)は各国に対し、3回目接種を見合わせるよう呼び掛けている。

 報告書は、WHOの科学者を含む研究チームがこれまでの観察研究と臨床試験の結果を基にまとめた。研究チームは、変異株の出現によりワクチンの感染予防効果は下がっているものの、デルタ株を含む主な変異株すべてに対し高い重症化予防効果を維持していると指摘。「パンデミック(世界的な大流行)の現段階では、全人口への追加接種は適切ではない」と結論付けている。

 報告書の筆頭著者であるWHOのアナマリア・エナオレストレポ(Ana-Maria Henao-Restrepo)氏は、「現在ある研究結果では、ワクチン接種の主な目的である重症化予防効果が大幅に低下しているという信頼できる証拠はない」と説明。ワクチンは今も接種を待っている世界中の人々に優先供給すべきであり、「ワクチンが最も効果的な場所に供給されれば、変異株のさらなる進化を抑制することにより、パンデミックの終息を早めることができる可能性もある」との見方を示した。(c)AFP