柵のない広大な保護区で生きるライオン 観光客誘致も 南アフリカ
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■「ライオンは分かち合わない」
保護区の拡声器が再び、けがをしたバファローの子どもの音声を流した。今度は小さなジャッカルが餌にありつこうと近寄ったが、ちょっとした物音に驚いて逃げ出した。
点灯したヘッドライトの明かりの中に、ゆっくりと近づくライオンのたてがみが浮かび上がった。
「初めは慎重に行動するのです」と語るバルーレ保護区の監視員のニック・ルーエンバーガー(Nick Leuenberger)さん。他のライオンの領域に足を踏み入れていないかを気にしているという。「ライオンは自分の食べ物を守り、分かち合わないのです」と指摘した。
突然、つり下げられたインパラの1頭にライオンが飛びつき、腹部にかぶりついた。そして食べ終えると、木の根元に横たわった。
次の日の晩は7頭のハイエナが交代で、インパラに食いついていた。周りにライオンはいなかった。
しかし帰り道、四輪駆動車が急停止した。左側でカバが1頭、口を大きく開け、激しく鳴いていた。
右側では雌ライオンが7頭、草むらから頭を出していた。固唾をのむ光景だったが、カバに危険はない。ノバクさんによると、少なくともこの倍の数のライオンがいないとカバは襲えないと言う。
緊張は解けた。1頭の雄ライオンがブッシュから現れ、歩き出した。1頭の雌が合流する。四輪駆動車はゆっくり後を追ったが、やがて2頭は夜の闇に消えた。(c)AFP/Gersende RAMBOURG