【9月13日 AFP】カンボジアの首都プノンペンで12日、中国が1億5000万ドル(約160億円)を支援し建設された新国立競技場の引き渡し式が行われた。中国からカンボジアに贈与されたインフラとしては過去最大の案件となった。

 引き渡されたのは「モロドク・テコ国立競技場(Morodok Techo National Stadium)」で、海外での影響力拡大を狙う巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」の一環となる。

 6万人が収容可能で、2023年に開催される東南アジア競技大会(SEA Games)のメイン会場となる。引き渡し式には、中国の王毅(Wang Yi)外相が出席した。

 カンボジアのタオン・コン(Thong Khon)観光相は、競技場の総工費は1億5000万ドルで、中国によるインフラ分野での贈与としては過去最大だと述べた。

 帆船を模した外観は、中国人がかつて船に乗りカンボジアにやって来た歴史を表現したもので、両国の長期にわたる友好関係を象徴しているという。

 カンボジアのフン・セン(Hun Sen)首相は中国への依存を強めているとして批判を浴びている。首相は12日の式典で、中国は「信頼でき、尊敬すべき友人だ」とし、中国との関係性を正当化した。

 また、競技場については「カンボジアと中国の揺るぎない友好関係がもたらした新たな成果だ」と述べた。

 フン・セン氏によると、王氏はカンボジアの開発プロジェクトに対し計2億5000万ドル(約270億円)を支援する複数の協定にも署名した。

 王氏はカンボジアのインフラ整備への支援継続を表明するとともに、対カンボジア協力で「政治的条件」を付けたことは一度もないと強調した。

 中国はカンボジアに新型コロナウイルスワクチンほぼ2800万回分を提供しており、うち430万回分は無償となっている。(c)AFP