【9月12日 AFP】米国では11日、2001年の同時多発攻撃から20年の節目を迎え、各地で厳粛な追悼式典が開かれた。出席者からは団結を呼び掛ける声が相次いだが、混迷を極めた米軍のアフガニスタン撤退と、同国でのイスラム主義組織タリバン(Taliban)の政権復帰が影を落とした。

 ニューヨークの世界貿易センター(World Trade Center)跡地に建てられた9.11記念碑で午前8時半(日本時間午後9時半)すぎに始まった式典には、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領や、バラク・オバマ(Barack Obama)元大統領が出席。国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の攻撃で亡くなった3000人近くの犠牲者の名前が遺族により読み上げられた。

 式典では、ハイジャックされた旅客機が北棟に激突した午前8時46分を皮切りに、2機目の旅客機が南棟に突っ込んだ9時3分、首都ワシントン近郊の国防総省に3機目の旅客機が突入した9時37分、南棟が崩壊した9時59分、4機目の旅客機がペンシルベニア州シャンクスビル(Shanksville)に墜落した10時3分、そして北棟が崩壊した10時28分の計6回、黙とうがささげられた。

 米歌手のブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)さんは「I'll See You in My Dreams(夢で会おう)」を披露した。ニューヨーク各地の消防署では、救助活動で犠牲となった消防隊員343人を追悼する式典も開かれた。

 追悼式典は、国防総省とシャンクスビルでも開かれた。シャンクスビルの式典には、当時の大統領だったジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)氏が出席し、事件発生直後に米国が見せた団結は現在では「遠いものに思える」と指摘。「われわれの政治の大部分が、怒りと恐怖、恨みに赤裸々に訴えるものになってしまった。これにより、この国について、そしてわれわれが共に歩む未来についての懸念が生まれている」と述べた。

 前日公開した動画メッセージで国民に結束を呼び掛けていたバイデン氏は、ニューヨークに続きシャンクスビルを訪問した際、「われわれは今後4年、5年、6年、10年で、民主主義が機能するかを示せるだろうか?」と問いかけた。

 だがそうした団結の訴えは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領により打ち砕かれた。トランプ氏は11日に公開した動画メッセージで、バイデン政権がアフガニスタン撤退で見せた「無能さ」を非難。その後、ニューヨーク市内の警察署を訪問し警察官らと面会した際には、米国は「恥をかいた」とコメントした。(c)AFP