【9月11日 AFP】南アフリカではサイの密猟を防止するため、放射性物質をサイの角に注入することで密輸を察知しやすくする方法が研究されている。専門家が10日、明らかにした。

 今年の1月から6月にかけて、南アフリカでは昨年同期比83頭増の少なくとも249頭のサイが密猟の犠牲となった。

 密猟者が狙うサイの角は、伝統薬として珍重されるアジアに密輸されている。

 ウィトウォーターズランド大学(University of the Witwatersrand)のジェームズ・ラーキン(James Larkin)研究員(原子力)は、サイの角に微量の放射性物質を注入し、密輸の際に発見しやすくすることで密猟を防止できる可能性があると話す。

 世界原子力協会(World Nuclear Association)が主催したウェビナーでラーキン氏は、世界各国の港と空港には1万1000を超える放射線検出器が設置されていると指摘。また、国境警備隊は密輸品を検知できる手持ちの放射線検出器を装備していることが多いと述べた。

 放射性物質が体内を循環したり、サイや人間に対して健康上の問題を引き起こしたりしないことを確認するため、すでに2頭のサイに放射性物質が含まれていない同位体が注入されている。

 今後はサイにとって適切な注入量を決定するため、コンピューターによるモデリングが行われる。実際にサイに注入する前には、3Dプリンターで製作したサイの頭部のモデルを使って実験が行われる。

 今回の計画はライソトープ・プロジェクト(Rhisotope Project)と呼ばれており、米国やオーストラリアの研究者のほか、ロシアの国営エネルギー企業ロスアトム(Rosatom)も支援している。(c)AFP