【9月11日 AFP】米航空宇宙局(NASA)の火星探査車「パーシビアランス(Perseverance)」が採取した二つの岩石サンプルに長期間にわたって水と接触していた痕跡があり、古代の火星に生命体が存在した可能性が高まっている。

 同プロジェクトに参加する科学者のケン・ファーリー(Ken Farley)氏は10日の発表で、「われわれが最初に採取した岩石は、(火星が)持続的に居住可能な環境だった可能性を示しているように思われる」と説明した。「長期間に及ぶ水の存在は大きな意味を持つ」

 NASAの地質学者ケイティ・スタック・モーガン(Katie Stack Morgan)氏は会見で、「これらの岩石の興味深い点は、長期間にわたって地下水と接触してきた痕跡があることだ」と語った。

 パーシビアランスは、火星の赤道のすぐ北に位置するジェゼロ(Jezero)クレーターと呼ばれる地域で活動している。現在の火星よりもはるかに温度と湿度が高かったとされる35億年前、この一帯には湖があった。

 湖の存在はかねて科学者の間で知られていたが、洪水によって満たされたわずか50年程度の「一瞬の出来事」だった可能性を排除できていなかった。しかし今回の発見により、地下水がもっと長期間にわたって存在していた可能性が高まった。

「これらの岩石が長期間、水と接触していたならば、岩石内部に生息条件を満たす空間があり、原始微生物の生命を支えていたかもしれない」とモーガン氏は補足した。

 NASAは2030年代に欧州宇宙機関(ESA)との共同ミッションでこのサンプルを地球に持ち帰り、研究室で詳細な分析を行う計画だ。(c)AFP