【9月11日 AFP】ロシアの国営エネルギー大手ガスプロム(Gazprom)は10日、ロシア産天然ガスをドイツに運ぶパイプライン「ノルドストリーム2(Nord Stream 2)」の完成を発表した。同パイプラインの建設は、米国の懸念や欧州の分断を生み、欧州連合(EU)の友好国ウクライナの反発を買っていた。

 ノルドストリーム2によりロシア産天然ガスのドイツへの供給量は倍増する見通しだが、建設計画を受けEU・米国間の関係は緊張。パイプラインは欧州のロシア産ガスへの依存を高め、ウクライナを迂回(うかい)するものと批判されている。

 パイプラインの敷設により、ウクライナを通る既存ルートの利用が減ることで、同国はロシアから得ている重要な経由料を失うことになる。ロシアによる2014年のクリミア(Crimea)半島併合以降、同国と対立関係にあるウクライナは、ロシアがパイプラインを「危険な地政学的武器」として利用する可能性があると欧州に警告してきた。

 米国は、建設を担うロシア船に対し制裁を発動。ノルドストリーム2の完成は遅れ、ドイツは反発した。だが、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前米大統領が悪化させた欧州との関係修復に取り組むジョー・バイデン(Joe Biden)大統領は今年5月、プロジェクトに関わるロシア政府系企業に対する制裁を解除。専門家はこの動きについて、中国の台頭をはじめとする他の課題に対するドイツの支持を取り付けるための和解策との見方を示している。(c)AFP