■共有している文化

 カーター氏は、日本人にとって黒人文化はなじみのあるものだと語る。音楽や、子どもたちに人気の習い事であるヒップホップダンスなどだ。J-POPも同様で、「宇多田ヒカル(Hikaru Utada)のアルバムのプロデューサーは黒人であるし、安室奈美恵(Namie Amuro)のバックダンサーには黒人も参加している」と続けた。デモの呼び掛けをラップ調に変える流れをつくったラッパーのECDも、印象的な存在だ。

 黒人コミュニティーにも日本文化の影響はある。アニメは広く浸透しており、コスプレに親しみを持つ若者もいる。「気付いていないだけで、文化を共有しているのです」とカーター氏。「誰かと距離が近いと感じれば、その人を差別する可能性が低くなります。そしてその人のことを怖がる対象として見なくなります」と話した。

 カーター氏は活動を通して「外国人や黒人、ミックスへの偏見がない」社会を望む。雇用や賃貸契約の際に正当な理由もなく怖がられたり差別されたりすることがなくなることを願っている。「日本文化を変えたり違うものにしたりしたいわけではなく、人を人として見るということです」

 政府は法整備はできるが、人々の意識までは変えられないとカーター氏。「人々に働き掛け、動機付けることが社会を変えることにつながる」と語った。(c)AFPBB News/Marie SAKONJU