【9月9日 AFP】世界保健機関(WHO)は8日、新型コロナウイルスワクチンの接種をまだ1回も受けていない人々が世界には大勢いると指摘し、年末まで追加接種を見合わせるよう各国に求めた。

 WHO本部で会見したテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、「世界のワクチン供給をコントロールしている企業や国が、世界の貧困層は余剰分で満足すべきだと考えているならば、私は黙っていない」と述べた。

 テドロス氏は富裕国とワクチンメーカーに対し、追加接種よりも貧困国の医療従事者や重症化リスクの高い人々への初回接種を優先するよう求めた。「ワクチン接種を完了した健康な人々への追加接種が広く行われるのは望ましくない」

 WHOは先月、新型コロナワクチンの分配量をめぐり富裕国と貧困国の間に著しい格差が生じている実態に対処するため、追加接種を9月末まで見合わせるよう呼び掛けていた。

 テドロス氏は、「それ以降、世界の状況はほとんど変わっていない」と指摘し、「追加接種の見合わせを少なくとも年末まで延長するよう求める」と訴えた。

 当初、富裕国は貧困国にワクチン10億回分以上の提供を約束していたが、テドロス氏によると、「実現したのはその15%にも満たない」という。

 テドロス氏は、「約束はこれ以上要らない」と訴えた。「欲しいのはワクチンだけだ」 (c)AFP