【9月9日 People’s Daily】中国河北省(Hebei)唐山市(Tangshan)にある鉄鋼メーカー、河鋼唐鋼高強度自動車鋼板有限公司の倉庫で、6台の5G無人天井クレーンが20メートルの高さで忙しく往来している。

 同社で20年にわたりクレーン運転手を務めている田亮(Tian Liang)さんは感慨深げに語る。「以前は操縦室に8時間ずっとこもって仕事していた。暑くてハードでした」

 5Gは田さんの仕事を根本的に変えた。無人天井クレーンは高精度カメラや5Gネットワークに基づいて稼働。田さんは静かで清潔な集中作業室で座りながら、スクリーンを見てクレーンを操縦している。倉庫の中を動き回り、夏は暑く冬は寒かった作業に別れを告げた。

「今年1~4月、5G無人天井クレーンは7万3500回にわたり計140万トンの製品を運搬した。前年同期と比べて25%アップし、事故はゼロ。設備の故障率も21%減りました」。そう話すのは、同社のバックアップオペレーション長の李任竜(Li Renlong)さん。「このクレーンを導入後、わが社の1日の出荷量は1305トン増えており、年間で1000万元(約1億7000万円)近い利益を生み出しています」と誇る。

 情報計量部長の郭亮(Guo Liang)さんは「5Gと人工知能(AI)、ビッグデータ、クラウドコンピューティングの結合により、生産ラインは1台のロボットのようになった。材料の運搬から製鋼、搬送まで、ほとんどすべての工程が自動化されました」と説明する。

 衣料品メーカーの雅戈爾(Youngor)も5Gネットワークの恩恵に浴している。「以前は手動で検品作業をしていたが、標準を統一するのが難しかった。今は生地の検査から工程プログラムの確認まで、すべて5GとAIが保障してくれます」。同社の顧躍君(Gu Yuejun)首席情報官はそう説明する。同社は昨年末、通信大手の中国聯通(チャイナ・ユニコム、China Unicom)と提携して5Gスマート製造システムを導入。生産工程の可視化、透明化、自動予測、自動補正を実現し、生産効率は25%上昇、生産周期は30%短縮された。

 中国聯通寧波市支店の曽国峰(Ceng Guofeng)総経理は「産業用インターネットは生産の自動化、情報化をもたらす。5Gは人や機械、材料などすべてを結びつけ、ビッグデータやAIは生産効率と品質の向上をもたらす。今後さらに多くの中小企業に恩恵を与えていくでしょう」と語る。「5G+産業インターネット」がもたらす効果は大きい。作業の省力化を促進するだけでなく、コストダウンや生産率の上昇、品質向上につながり、収益の増加に結びつく。

 中国の5Gネットワークは近年、急速な発展を遂げている。今年6月末段階で、5G基地局は全国96万1000か所に上り、5G携帯電話端末接続数は3億6500万人に達している。5Gなど新世代の情報技術は今後、さらに多くの産業に劇的変化をもたらすだろう。(c)People’s Daily/AFPBB News