【9月8日 東方新報】中国の国家衛生健康委員会がまとめた「中国人の栄養と慢性疾患に関するリポート2020」によると、中国の子どもの2割近くが標準体重を超えて過体重(太り気味)か肥満となっている。

 リポートによると、6〜17歳のうち過体重は11.1%、肥満は7.9%で計19%。6歳未満でも過体重が6.8%、肥満が3.6となっている。

 最近は、幼児の極端な肥満の事例も報告されている。

 江蘇省(Jiangsu)のある男児は7歳で体重が110キロに達した。男児は生まれた時にかなり痩せており、家族がさまざまな栄養補助剤を過剰に与えていた。男児はある日の朝、母親が起こしても反応がなく病院へ運ばれたが、死亡が確認された。死因は脳血管障害や血管破裂で、肥満が原因とみられる。

 江西省(Jiangxi)の4歳の男児は重度の肥満でウエストは大人並みの95センチに達していた。体格指数(BMI)は35(標準は18.5~25未満)を超えていた。寝ている時に大きないびきをかくため親が病院に連れて行ったところ、睡眠時無呼吸症候群であることが判明。さらに高脂血症、高血圧、脂肪肝と分かった。

 こうしたケースは特別な個別例だが、子どもの肥満化は全体的に深刻化している。

 中国疾病管理予防センターの栄養健康研究所の劉愛玲(Liu Ailing)研究員は「原因の一つは食生活の変化です。食事の栄養価が高すぎる、朝食を食べず油分や糖分が多いスナックをたくさん食べる、甘い飲み物を多く摂取するなどが挙げられます」と説明。さらに「最近の子どもはスマートフォンやテレビを見る時間が増え、体を動かしてエネルギーを消費する機会が減っている」と指摘する。

 中国の健康監督部門は「児童・青年期の肥満予防および管理実施計画」を発表。2020年をベースに0〜18歳の子どもの過体重・肥満の増加率を70%削減するとし、2030年には過体重・肥満の増加率をゼロにする目標を定めている。未成年のうちに肥満となると成人期も肥満になりやすい傾向にあり、心臓病や糖尿病などの病気になる割合も高くなる。経済成長により生活が豊かになればどの国でも起きる問題だが、中国は「肥満・病気大国」とならないよう、国を挙げて早期予防に取り組んでいる。(c)東方新報/AFPBB News