【9月7日 東方新報】北京市郊外に新設された米国系テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・北京(Universal Studios BeijingUSB)」が20日に開業する。市民の間では「海外旅行に行けない分、国内で映画の別世界を体験できる」と期待が高まっている。世界中で新型コロナウイルスの感染が収まらない中、国際的テーマパークの開園は中国のコロナ対策が成功していると世界にアピールする場にもなる。

 USBは、「ユニバーサル・スタジオ」の名前を冠した施設としては米国(ロサンゼルスとオーランドの2か所)、日本(大阪)、シンガポールに続いて世界で5か所目。ホテルや商業施設を併設した「ユニバーサル・北京・リゾート(Universal Beijing Resort)」の中核施設となる。「ハリー・ポッター(Harry Potter)」や「トランスフォーマー(Transformers)」「カンフー・パンダ(Kung Fu Panda)」「ミニオンズ(Minions)」など7つのテーマエリアに、ジェットコースターなどの37のアトラクションを備える。「カンフー・パンダ」の主人公ポーの父親ピンさんのヌードルショップ、「ハリー・ポッター」に登場する名物飲料バタービール、「ミニオンズ」のキャラそのままのアイスも楽しめる。年間来場者は1000万人以上を想定している。

 スタジオ・パス(入場券)は4種類の価格が設定され、オフシーズンは418元(約7110円)、通常シーズンは528元(約8980円)、オンシーズンは638元(約1万850円)、特別な日は748元(約1万2721円)となっている。20日からの料金は638元。3歳以下は無料で、3~11歳の子ども、65歳以上の高齢者、障害者は割引がある。

 中国中部には上海ディズニーランド(Shanghai Disneyland)、南部には香港ディズニーランド(Hongkong Disneyland)があるのに対し、北部は国際的テーマパークの「空白地帯」だった。旅行サイトでは、ユニバーサル北京リゾートに関する検索が殺到。10月1日の国慶節(建国記念日)から1週間の連休期間で観光の目玉となっている。中国メディアは「USBで1日遊ぶといくらかかる?」「ハリー・ポッターの杖(つえ)とローブはいくら?」など多くの特集記事が組まれている。

 ユニバーサル・北京・リゾートは当初、5月の開業予定だったが新型コロナ対策のため延期し、3か月にわたり従業員などに限った内部試験を実施してきた。8月中旬までに延べ約20万人がアトラクションを利用したという。9月1日からは招待客に限って入場する試験営業を始め、最終確認をしている。20日の開業後は新型コロナの感染状況に応じて入場客数を調整。入場時には検温や、感染リスクがないことを証明するスマートフォンの「健康コード」の提示を求める。

 中国では新型コロナの変異株「デルタ株」流入などで7月下旬から感染者が増えたが、8月後半にはおおむね抑えこみに成功した。北京では来年2月に冬季五輪開催が控えている。ユニバーサル・北京・リゾートの開園は、中国がコロナ禍を克服しているという国家の威信を示す機会にもなっている。(c)東方新報/AFPBB News