【9月7日 People’s Daily】中国政府は、チベット(Tibet)の生態環境水準の向上に長期的に力を入れており、青海・チベット高原の生物多様性保護を推進し、生態系を優先したエコな発展の道をまい進している。現在、チベットは世界でも有数の生態環境が良好な場所になった。

 ヤニ国立湿地公園のスタッフに今と昔の環境の変化について尋ねると、「日進月歩」だと語る。

 ヤニ峡谷はかつて、雨期が過ぎると水位が下がり、むき出しの河床では黄砂が風に舞い上がり、黄砂を採掘することが環境の悪化に拍車をかけていた。2016年に湿地公園が正式に成立して以来、黄砂の採掘は行われなくなったという。

 生態系の保護には、制度による後押しが必要である。チベットは「チベット自治区環境保護条例」など60以上の法規を公布・施行しており、今年1月には、チベット初の生態系に配慮した文明建設に関する総合的法規が自治区人民代表会議を通過した。

 チョモランマ国立自然保護区はコア部分を開放せず、チャンタン国立自然保護区は許可のない通行を禁止し、プロカンリ氷河は観光目的の開放をやめた。経済的代償を払うことにはなるが、生態系を保護し、子孫の代に自然資源を残すことを目指す。

 2020年までに、チベットは生態環境分野に814億元(約1兆3800億円)を投入した。現在のチベットは、自然保護地区に指定された土地が自治区全体の38.75%を占め、その面積は60万8000平方キロメートルにのぼり、全国でも最も厳しいレベルの保護がなされている。草原の植物被覆率は47%、湿地面積は652万9000ヘクタールに達し、生物多様性を保護し、主要な水系の水質を整えた。過去1年には、チベットで空気質が良好基準を満たす日は99.4%に達した。

 チベット自治区森林草原局のデータによれば、「第13次5か年計画」の期間中、チベットでは596万4800ムー(約3976平方キロメートル)が造林され、森林カバー率は12.31%に上昇し、各水流の流域緑化プロジェクトでは26万9000ムー(約179平方キロメートル)が人工造林された。

 また、「第13次5か年計画」の期間中、チベット都市部の汚水処理率は50.19%から96.28%まで大幅に上昇し、中級以上の都市では生活ごみの無害化処理率が97.34%に達した。人々のライフスタイルも大きく変わり、エコフレンドリーかつローカーボンな発展の旋風が、今やチベット自治区を席巻している。2020年までに、チベットではクリーンエネルギー発電が全体の9割を占めるようになり、2015年から2020年までに外地へ送られたクリーンエネルギーによる電力は累計65億キロワット時に達した。

 現在、チベットには美しい風景を求めて訪れる観光客が絶えない。統計によれば、2020年までに直接的・間接的に観光業に関わるチベットの遊牧民はのべ8万6000人にのぼり、1人あたりの年収は4300元(約7万3000円)あまり増加している。(c)People’s Daily/AFPBB News