【9月14日 AFP】ベルギー東部にある閉鎖されていた高速道路が、8キロにわたってほぼ完全にごみで埋め尽くされている。つぶれた冷蔵庫や壊れた家具、破れたカーテン、ねじ曲がった金属片にぬいぐるみ、動かなくなった家電にガラスの破片などのごみだ。

 家庭ごみ9万トンの臨時集積場となっているのは、ワロン(Wallonia)地域のリエージュ(Liege)市北にあるA601号線だ。その光景は、7月中旬に同国を襲った前例のない洪水のすさまじさを物語っている。

 同地域を洪水が襲い、住宅や学校、オフィスや商店が押し寄せる水で破壊された後、地元当局が突如として直面したのがごみの山だ。

 地元のごみ集積場やリサイクル施設はすぐに満杯になってしまったため、市のごみ処理を担う「INTRADEL」は16万トンのごみを収容する仮集積場3か所を指定した。その半分以上を担うのがA601号線だ。

 だが、道路への廃棄は一時しのぎにしかならないことを当局は認識している。今後、ごみの最大60%をリサイクルし、残りを焼却する計画だが、その作業量から少なくとも9か月はかかる見通しだ。

 ワロン地域の環境相セリーヌ・テリエ(Celine Tellier)氏は「これらは洪水で多くの思い出の品々を失った、市民の人生の一部でもあります」と語る。

「だから、ごみと言っても大切なものであり、個人の歴史そのもので、どれも尊厳をもって扱う必要があるのです」 (c)AFP/Marc BURLEIGH