【9月6日 People’s Daily】上海市浦東区(Pudong)、張江(Zhangjiang)ロボットバレー、1000平方メートルの展示室は静かで、躍動感に満ちている。ロボットがコーヒーを入れ、手術を行い、六面立体パズルを解くなどブラックテクノロジーの数々が、まるで未来の世界をほうふつとさせる。

 張江の一部の園区の建設が進み、すでに多くの事業者が競って入居している。浦東新区の中心部に位置する張江科学城の中心プレートは、北は張江AI島からわずか8キロ、南は先進製造業が集積する康橋西区に隣接し、5G通信事業者である中国電信園区も有している。1~2年後には、インキュベーター、産業チェーン、付帯ビジネスサービスを備えたロボットイノベーションセンターが新たに登場する予定だ。

 多くの国際科学技術イノベーション企業がチャンスを見いだした。今年7月、ロンドン、シカゴなどに海外拠点を設立し、製品を20か国以上に輸出する上海傅利葉智能(Fourier Intelligence)は、本社を同バレーに移転した。ABBグループの1億5000万ドル(約164億円)を投資したスーパー工場は、2022年第1四半期(1〜3月)に全面的稼働・生産を開始する見通しだ。未来には、ここで「ロボットがロボットを作る」製造モデルが生み出されるだろう。

 技術課題の取り組みから製品の研究開発、そして、生産投入から市場開拓に至るまで、浦東区はすでに比較的完備されたAIイノベーションチェーンを形成しており、AI企業数は上海市の約3分の1、2020年の同区のAI産業規模は910億元(約1兆5400億円)で、上海市の40%を占めた。

 浦東区は集積回路やバイオメディカルなどの分野でも、産業チェーンの全面的な発展を遂げた。長年の発展を経て、浦東集積回路産業は設計、製造、実装テスト、設備用材料などの各段階をカバーした。世界ファウンドリーの上位5社のうち2社が張江に本社を置いている。世界半導体装備メーカー上位10社のうち6社、全中国のチップ設計企業上位10社のうち7社が張江に本社、研究開発センターを設置している。2020年、浦東集積回路の産業規模は20.5%増の1471億元(約2兆5000億円)で、全市の71%、全国の6分の1を占めた。

 浦東バイオメディカル分野も全面的な発展の勢いを見せており、イノベーション人材、研究開発機構、イノベーションチェーン、産業システムがいずれも比較的完備されている。中国全土の先発薬品の15%と革新的医療機器の10%がここで生まれた。「第13次五か年計画(2016〜20年)」期間中、浦東区では7件の第1類医薬品の新薬が上市許可を得、全国の15%近くを占めた。毎年40件近くの第1類医薬品の新薬が臨床試験に入り、全国の約20%を占めている。

 グローバル新素材テクノロジー企業である科思創(上海)投資(COVESTRO)中国市場の雷煥麗(Lei Huanli)総裁は、「浦東区の高効率、開放、国際競争力のある発展環境と顕著な人材優位性は、われわれの世界の革新力と競争力の向上に役立つ」と述べた。

 7月29日、浦東大企業オープンイノベーションセンターの計画が発表された。大企業のイノベーション資源とグローバルイノベーションネットワークの優位性を発揮し、イノベーションチェーン上の中小テクノロジー企業を集め、育成し、インキュベートを進め、協同イノベーションを展開することを目的としている。

 浦東にはすでに重点企業研究開発機構と外資研究開発センター966社が集結しており、今年には1000社を超える見込みだ。これらの事業者はいずれも数年以内に急成長し、自身の分野で爆発的な成長を遂げるとみられる。今年、国内外大企業22社のオープンイノベーションセンターの準備も進められている。(c)People’s Daily/AFPBB News