【9月5日 AFP】ミャンマーで国軍のクーデターに抗議する民主派デモと激しい軍の弾圧を取材してきた匿名のフォトグラファーが4日、世界最大規模の写真ジャーナリズムの祭典で最高賞を受賞した。

 フランス南部ペルピニャン(Perpignan)で開かれた写真ジャーナリズムの祭典「ビザ・プール・リマージュ(Visa Pour L'Image)」で最高賞「ビザ・ドール(Visa d'Or)」を受賞したミャンマー人男性は、安全上の理由から匿名で活動している。

 代理で授賞式に出席した米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)アジア地域フォトエディターのミッコ・タックネン(Mikko Takkunen)氏によると、男性は、非常に困難な状況下で取材を続けているミャンマー国内の仲間たちに賞をささげると語った。

 男性のカメラは、石を武器に闘う市民や、実弾を発射する兵士ら、身内の死を悼む家族の姿などを捉えている。

 民主派の支援団体によると、今も続く国軍の弾圧による民間人の死者はミャンマー全土で1000人を超えている。情報統制を図りたい国軍は報道関係者への締め付けを強めており、インターネットへのアクセスを制限したり地元メディアのライセンスを剝奪したりしている。

 受賞した男性は「(国軍のクーデターが起きた)2月1日から毎日、現場で取材している」とメッセージで明かし、「銃弾、催涙ガス、耳をつんざくような手投げ弾の間を縫って取材する中で、多くの困難に遭遇した」と告白。「兵士らがフォトグラファーを標的にしていることが分かったので、現場では『プレス(取材班)』と記されたヘルメットをかぶるのをやめた」と語った。(c)AFP