ブドウ畑も高地に避難…温暖化で変わるスペインのワイン造り
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【9月12日 AFP】スペイン地中海沿岸カタルーニャ(Catalonia)地方で1世紀以上の歴史を持つワイン醸造家の一族。そのブドウ畑は、気候変動の影響でより気温の低い高地への移動を迫られている。
ホアキン・ガイ・デ・モンテッラ・エスタニ(Joaquin Gay de Montella Estany)氏が継いだワイナリーは現在、フランス国境に近いピレネー山脈(Pyrenees)の麓にもブドウ畑を持っている。標高は1200メートル近い。
温暖化によりブドウの収穫期は早まり、耐暑性のある品種が求められている。高地移動は、適応を試みるスペインのワイン生産者らの選択肢の一つだ。
カタルーニャの州都バルセロナ(Barcelona)から南へ約40キロ、海辺のパナデス(Penedes)地域にガイ・デ・モンテッラ氏が所有するエコロジー志向のワイナリー「トーレ・デル・ベグエール(Torre del Veguer)」がある。
温暖化のせいで、収穫期はこの10年間で10~15日早まったとAFPに語った。「暑さが最も厳しい8月初めに収穫しなければなりません」
そのため、2008年に生産拠点の一部をピレネー山中のボルビル(Bolvir)村に移したと言う。
■早まるブドウの成熟
国際ブドウ・ワイン機構(International Organisation of Vine and Wine、OIV)の統計によると、スペインのワイン用ブドウ畑の面積は96万1000ヘクタールで、世界一だ。ワイン生産量では、イタリア、フランスに次いで第3位。
スペイン気象庁(AEMET)によると、同国の平均気温は過去60年間に1.3度上昇した。ワイン造りはブドウを収穫するタイミングが極めて重要なため、ワイン生産者への影響は大きい。
平均気温が上がるとブドウの成熟が早まる。実の酸度が下がり、糖度は上がる。香りや風味に関わる他の成分も変質してしまう上、ワインのアルコール濃度が増す。
アルコール成分が過剰になるのを避けるためには、ブドウを早く摘まねばならない。「これではブドウが正しく完熟したとは言えません」。地元のロビラ・イ・ビルジリ大学(Rovira i Virgili University)のワイン醸造学専門家、フェルナンド・サモラ(Fernando Zamora)教授は言う。