【9月5日 AFP】国際自然保護連合(IUCN)は4日、絶滅の恐れがある野生生物をまとめた「レッドリスト(Red List)」の最新版を公表した。海面上昇により生息地が縮小するインドネシアのコモドオオトカゲを「危機(EN)」に分類した他、サメの5分の2近くの種が乱獲により絶滅の危機に直面していると警告した。

 人間活動が自然界に及ぼす壊滅的影響が深刻化する中、IUCNが評価した約13万8000種のうち約28%が現在、絶滅の危機にひんしている。

 一方、レッドリスト最新版は改善の可能性も強調。10年間にわたる漁獲量規制を経て、マグロ4種の絶滅危機レベルが引き下げられた。中でも大西洋クロマグロは「危機(EN)」から「低懸念(LC)」へと、3段階引き下げられた。

 IUCNの生物多様性保全グループのグローバルディレクター、ジェーン・スマート(Jane Smart)氏は、「これは、保全活動を正しく行えば種は増加し得ることを示している」と述べた一方で、「油断してはいけない。これらのマグロを好き勝手に捕獲してよいということではない」とくぎを刺した。

 現在生息しているトカゲの中では世界最大のコモドオオトカゲは、国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産(World Heritage)に登録されているインドネシアのコモド国立公園(Komodo National Park)と、その隣のフロレス島(Flores Island)でしか見られない。

 その小さな生息地は、海面上昇により今後45年間に少なくとも30%縮小すると予想されており、IUCNはコモドオオトカゲへの「気候変動の影響がますます強まっている」と指摘している。

■警戒すべきレベル

 サメとエイについてこれまでで最も広範な調査が行われ、評価対象となった1200種のうち37%が、絶滅の危機に直面していることを示す「危急(VU)」、「危機(EN)」、「深刻な危機(CR)」のいずれかに分類された。

 先月30日に発表され、レッドリストの評価を裏付けた論文の筆頭著者であるサイモンフレーザー大学(Simon Fraser University)のニック・ダルビー(Nicholas Dulvy)教授は、絶滅の危険にさらされている種の数は、わずか7年前の1.3倍以上になったと指摘する。

 同氏はAFPに、「この種の保全状況は全般的に悪化を続けており、絶滅のリスクは全般的に警戒すべきレベルまで上昇している」と述べた。(c)AFP/Kelly MACNAMARA/Marlowe HOOD