■「想像を絶するほどのコストがかかる夢」

 元スリランカ中央銀行副総裁で経済アナリストのW.A.ウィジェワルダナ(W.A. Wijewardena)氏は、政府が推し進める有機プロジェクトを「社会的にも政治的にも経済的にも、想像を絶するほどのコストがかかる夢」と評した。

 スリランカの食料安全保障は「損なわれ」、外貨がなければ「日に日に悪化する」と指摘した。

 茶園主からは、生産量が落ちれば収入が減るだけではなく、大量の失業者が出ると懸念する声が上がっている。茶葉は今でも人の手で摘み取られているからだ。

「紅茶栽培がだめになれば、300万人が仕事にあぶれることになる」と、スリランカ紅茶工場オーナー協会(Sri Lanka Tea Factory Owners Association)は憂慮している。

 一方、ラメシュ・パティラナ(Ramesh Pathirana)プランテーション相は、化学肥料の代わりに有機コンポストの設置を進める政府の方針を発表した。

「肥料に関して、政府は、紅茶産業にとって有益なものを提供していく」とAFPに語った。

 農業従事者は、有機農業を推進すれば、スリランカのシナモンやコショウの輸出も影響を受けると訴えている。

 それでも、ラジャパクサ大統領は強気の姿勢を崩さない。最近の国連(UN)サミットでは、有機農業を普及する取り組みによって、スリランカ国民に「より良い食料安全保障と栄養供給」を確保できると発言した。

 さらに各国に対し、「世界の食料システムを持続可能な方法に変えるために必要な大胆な施策」を打ち出し、スリランカの後に続くよう呼び掛けた。(c)AFP/Amal JAYASINGHE