【9月2日 AFP】ジョー・バイデン(Joe Biden)米大統領が2008年のアフガニスタン訪問中、吹雪で身動きが取れなくなった際に救出に貢献した通訳が現在、国外退避できずに身を隠していると米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。

 WSJが身元を伏せるために「ムハンマド氏」と呼んでいる男性は当時、米軍付き通訳として戦闘任務に参加していた。

 8月31日付のWSJによると、2008年にアフガンを訪問したバイデン氏はヘリコプターで移動中、吹雪に見舞われ、へき地での不時着を余儀なくされた。バイデン氏には、チャック・ヘーゲル(Chuck Hagel)元国防長官とジョン・ケリー(John Kerry)米大統領特使(気候変動問題担当)も同行していた。

 山中に不時着したバイデン氏らがイスラム主義組織タリバン(Taliban)に攻撃される恐れがあったため、バグラム空軍基地(Bagram Air Base)から小規模な救助隊が出動し、ムハンマド氏も加わった。

 それから13年後、タリバンがアフガン全土を掌握したことを受けて、ムハンマド氏は米国への退避を申請したが、手続きが間に合わなかった。

 緊急退避の最終便がたった8月30日、ムハンマド氏はWSJに、「こんにちは、大統領閣下。私と家族を助けてください」と語った。「ここにいる私を忘れないでください」

 WSJによるとムハンマド氏夫妻と4人の子どもたちは現在、首都カブールを掌握したタリバンによる弾圧を懸念し、身を隠しているという。

 米ホワイトハウス(White House)のジェン・サキ(Jen Psaki)報道官は8月31日の記者会見で、「彼に送るメッセージは、過去20年間、私たちの側で戦ってくれてありがとうだ」と述べた。「あなたを退避させる。あなたの貢献に敬意を表する」 (c)AFP