【9月2日 AFP】日本に出荷された米製薬大手モデルナ(Moderna)製の新型コロナウイルスワクチンに異物が混入していた問題で、同社は1日、異物はステンレススチールだったと発表し、「被接種者の健康・安全に過度のリスクをもたらすことはない」と述べた。

 異物混入の報告を受けて、厚生労働省は先週、同社製のワクチン3ロット約163万回分の使用を中止していた。

 当局は、使用を見合わせているロットの一つのワクチンを接種後に死亡した男性2人について調査しているが、現時点で死亡とワクチン接種との関係は不明と発表した。

 モデルナと、同社製ワクチンの国内販売・流通を担当する武田薬品工業(Takeda Pharmaceutical)は共同ステートメントで、使用を見合わせている3ロットの一つに異物が混入した原因について、モデルナの欧州における委託生産拠点であるスペインのロビ・ファーマ・インダストリアル・サービス(ROVI Pharma Industrial Services)の製造ラインにおける不具合の可能性が高いと発表した。

 両社は、「モデルナ社製ワクチン薬液内にステンレススチールがごく少量存在したとしても、被接種者の健康・安全に過度のリスクをもたらすことはなく、また、ワクチンのベネフィット・リスク評価に悪影響を及ぼすことはありません」と述べた。

 さらに、「注射針を通過できる大きさの粒子状金属が仮に筋肉内に注入されてしまった場合、接種された局所における反応をひきおこす可能性がありますが、注射部位以外での副反応を起こす可能性は低いと考えられています」と説明した。

「ステンレススチールは心臓の人工弁や関節置換、金属製の縫合糸やステープルなどの医療機器に用いられています。このことから、当該ロットで見つかった極めて小さな粒子状金属が仮に筋肉内に注入された場合でも、医療上のリスクが増大する可能性は低いと考えられます」

 死亡事例2件については、「現時点では、これらの死亡事例とモデルナ社製ワクチン(ロット番号3004734)接種の因果関係があることは確認されていません。現在のところ相互の関係なく偶発的に生じたものと考えられます。今後、因果関係の有無に関する正式な調査を実施していくことが重要と考えます」と述べた。2件の調査を進めているという。(c)AFP