【9月1日 AFP】コンゴ民主共和国の当局は、米国が1945年に広島と長崎に投下した原子爆弾の原料となったウランが採掘された鉱山で、違法採掘に対する警備を強化すると発表した。

 問題となっているのは、南東部にある第2の都市ルブンバシ(Lubumbashi)の北方150キロに位置するシンコロブエ(Shinkolobwe)鉱山。現地の人権活動家によると、高値で売れるコバルトや銅を求めて違法採掘者が入り込んでいるという。同鉱山では、銅鉱石に含まれる形で少量のウランも見つかる。

 国営鉱山大手ジェカミン(Gecamines)が所有するシンコロブエ鉱山は、第2次世界大戦(World War II)に米国が広島に投下した原爆「リトルボーイ(Little Boy)」と長崎に投下した「ファットマン(Fat Man)」の製造に使われたウラン鉱石の大半を供給したが、1960年に正式に閉鎖された。

 しかし、鉱山から30キロ離れたリカシ(Likasi)の人権活動家ポール・キシンバ(Paul Kisimba)氏は「ひそかな採掘」は続いていると言う。

 キシンバ氏はAFPの電話取材に対し、「この件については6月に当局に報告した」と述べ、配備されたコンゴ民主共和国軍(FARDC)、警察、ジェカミンの警備員などすべての監視要員が「仕事をしていない」と語った。

 それどころか、警備員らは賄賂と引き換えに夜間に違法採掘者を入れているという。キシンバ氏は、「彼らは食料不足を理由に正当化する。当局が定期的に十分な食料を供給しないからだと主張している」と述べた。

 キシンバ氏の警告を受けて8月末、地元当局者は会議を開いた。8月30日には、オーカタンガ(Haut-Katanga)州のジョルジュ・マウィネ(Georges Mawine)鉱山相が現地を訪れ、「違法採掘を防ぐためにどの程度フェンスを設置するかについて、調査を開始するために来た」と報道陣に語った。さらに、監視カメラと警備員を増やして警備を強化する方針も示した。(c)AFP