【9月1日 AFP】イスラム主義組織タリバン(Taliban)はアフガニスタンのメディアを封殺する。ジャーナリストを自由に活動させると欧米諸国に約束したが、これは偽りだ──。こう断言するのは、タリバンから脅迫を受け、首都カブールを脱出したアフガニスタン人の報道写真家だ。

 AFPカメラマンとして2012年に米ピュリツァー賞(Pulitzer Prize)を受賞したマスード・ホサイニ(Massoud Hossaini)氏(39)は、アフガニスタンで権力を掌握したタリバンは、すでに女性ジャーナリストに制限を加えていると指摘する。

 現在フリーランスの同氏は、タリバンが政権を奪回した日にカブール発の最後の民間航空便で国外退去。アフガニスタンのメディアの未来に警告を発した。

「非常にまずい。タリバンはメディアを封殺しようとしている。じわじわとだ」。ホサイニ氏は8月27日、オランダ・アムステルダムで開催中の「世界報道写真(World Press Photo)」の特別展でAFPの取材に応じた。

「タリバンは、まず人を捕虜にしてから殺害する。これが今、メディア全般に起きている」

 カブール陥落後、タリバン幹部は、女性を含め、メディアは自由に活動を続けることができ、妨害を受けることはないと主張した。正式な記者会見まで開き、報道官が質問に答えている。

■「第二の北朝鮮になる」

 しかし、ホサイニ氏は、タリバンの約束は、まやかしだと言う。同氏は2011年末、カブールで起きた自爆攻撃の直後、死体の中で泣き叫ぶ少女の写真を撮り、翌年の世界報道写真展の「スポットニュース部門」で2位に選ばれた。

「タリバンはメディアを完全に封殺し、インターネットも完全に遮断するはずだ。おそらく、この地域における第二の北朝鮮になるだろう」 

「今、彼らは国際社会を欺いている。欧米人を欺いているのだ」とホサイニ氏は続け、タリバンの記者会見を「小細工」と呼んだ。