【8月31日 Xinhua News】中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の蓋志琨(Ge Zhikun)副研究員はこのほど、山西省(Shanxi)陽泉市(Yangquan)計画自然資源局の白志君(Bai Zhijun)氏、山西省第二地質勘察院陽泉分院の張軍文(Zhang Junwen)氏と協力し、同省陽泉市で2億9千万年前のペタロダス科のサメ「弁歯サメ(Petalodontiformes)」の化石を発見した。中国で同種の歯の化石が見つかるのは初めてで、古代北半球における弁歯サメの地理的分布が大幅に拡大した。

 研究では、弁歯サメがすでに大洋を渡って移動する能力を持ち、従来考えられていたような貝を餌とする底棲生物ではなく、高い遊泳能力を備えた頂点捕食者だった可能性が明らかになった。研究成果は25日、国際学術誌「地質学報(英語版)」の表紙を飾る論文として発表された

 研究者は、今回発見された7点の歯の化石をペタロダス科弁歯サメ属のオハイオ弁歯サメのものと特定した。化石を見ると、刃のような歯の縁は多数の垂直の細い溝で覆われており、巨大な咬合面を持つ。このような歯の形状は、獲物の筋肉組織をかみちぎるのにより適しているという。歯の大きさが現代のホホジロザメと似ていることから、弁歯サメは3~5メートルの体長を持つ先史時代の凶暴なサメで、古生代の海での頂点捕食者だったと推測される。

 化石発見者の白氏によると、化石は2億9800万年前~2億9千万年前のペルム紀ウラル世の太原組銭石灰岩層で発見された。当時の陽泉一帯は赤道に近い温暖で透明度の高い浅海で、各種海洋生物の生存に非常に適した環境だった。

 白氏は、化石が比較研究によりオハイオ弁歯サメと特定された弁歯サメの真の仲間だと指摘。今回の発見は、世界の弁歯サメ属の化石分布記録を塗り替えるとともに、弁歯サメが優れた遊泳拡散能力を持つ遠洋魚であった可能性を示すと述べ、中国華北地域のペルム紀の海洋生物多様性を研究し、古環境を分析する上で重要な意義を持つと説明した。(c)Xinhua News/AFPBB News